節目酒
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子供が眠りについた後で久しぶりに飲まないと妻から誘われて、私達はとあるバーに入った。そこでは少し変わったお酒、節目酒を飲むことができる。材料は私達の涙。各々のキープしているボトルに店主がその時々に流された我々の涙を混ぜて熟成させる。大学時代に知り合った私達は以来ずっとこの店で節目酒を熟成させ味わってきた。人生の節目で流される涙をブレンドして作られる酒はときに甘く、ときにほろ苦い。個々の涙によって色味の異なる液体はまさに人生そのものの味がした。
私達はグラスを交換すると互いの節目酒を飲んだ。すると二人の出逢いから今日までの日々が脳裏に次々と浮かんでは消えた。
「何がいけなかったんだろうな」
「お互い、あんなに好きだったのにね……」
妻は少し泣いた後で笑って言う。
「これは未練とかじゃなくて女の勘だけど、あなた、あの女に捨てられるわよ」
私は頷くと一口飲んだ。
ほろ苦くも切ない味がした。
私達はグラスを交換すると互いの節目酒を飲んだ。すると二人の出逢いから今日までの日々が脳裏に次々と浮かんでは消えた。
「何がいけなかったんだろうな」
「お互い、あんなに好きだったのにね……」
妻は少し泣いた後で笑って言う。
「これは未練とかじゃなくて女の勘だけど、あなた、あの女に捨てられるわよ」
私は頷くと一口飲んだ。
ほろ苦くも切ない味がした。
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公開:19/12/07 07:05
更新:19/12/07 07:13
更新:19/12/07 07:13
節目
酒
バー
人生
涙
空想と妄想が趣味です。
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