Can you celebrate?

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子供の頃からよく泣く子だった。その度に「男の子は泣いたらダメ!」と叱った。父親がいない分、厳しく躾けた。それがあの子にとってはプレッシャーだったと思う。理想の男性像をあの子に押し付けたから。
「今、この人と暮らしている。来年には結婚したい」
そう息子に相手を紹介されたのは去年の夏だった。私は反対した。どうしても受け入れることができなかった。偏見だと人は言うだろう。でもどうしても息子の相手が同じ男性だということが理解できなかった。孫を抱くという未来も崩れ去った。
結婚式当日、相手の男性が私に丁寧に頭を下げた。
「僕を受け入れて頂けないのは分かっています。でも、これだけは信じてください。僕は心から息子さんを愛しています」
彼の頬に伝う涙を見ながら愛とは何だろうと考えた。息子の本当の幸せとは何だろうと。
「息子を……よろしくお願い致します」
息子の人生と私の価値観が大きな節目を迎えた瞬間だった。
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公開:19/12/03 14:52
節目 結婚 同性 LGBT

蟲乃森みどり( 太陽から三番目の石 )

ある朝、目が覚めると蟲乃森みどりの人生はショートショートに変わっていた。目に映る景色、耳に聞こえる音、頬に触れる風の感触、彼女をとりまく世界のすべてが物語の息吹に満ちていた。みどりは自身の肉体と精神が死と破壊に満ちていると同時に美しく謎めいた物語によって形作られていることを知ってしまったのだ。アンデルセンの言うとおり、すべての人の一生は神の手によるお伽噺に過ぎないのかもしれない。つまり、ショートショートそのものであるみどりがショートショートを書くということはショートショート内ショートショートという入れ子構造になるわけだ。
このプロフィールはショートショートです。実在の人物とは一切関係ありません。

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