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新しい手帳を買いに行くと店の棚に「駝帳」という商品が並んでいた。「これ何ですか?」と店員に尋ねると「ダチョウです。新製品の」と答えて「手帳って手が付いていて、その手でスケジュールを押さえたり把握したりしますよね?」と続いた。「そうですね」「この駝帳は足が生えていてスケジュールを追いかける事ができるんです」「ええっ!?」「しかも駝鳥の足ですから早いですよ」
早速駝帳を買った。凄い。寝ぼけ眼でも会社まで背中に乗せてすっ飛んでくれる。駅の階段も五段飛ばしだ。いつも捕まらない上司のスケジュールを蹴り飛ばして空けてくれるし、嫌な会議はスキップ。もう手放せ、いや足放せない。
逃げる2月去る3月にも追いついて、迎えた4月。突然、街中で駝帳が踊りだした。春の求愛ダンスだ。大混乱の末、駝帳は販売中止になってしまった。
翌年、駝帳に代わる新製品が発売された。商品名は「帳面」。表紙には顔がニッコリと笑っていた。
その他
公開:19/11/23 05:00

北澤奇実

ご無沙汰しております。北澤です。お陰様で元気に過ごしております。

椿さん、そるとさん、坊っちゃん文学賞受賞おめでとうございます。
それから、ご活躍のガーデンの皆様、おめでとうございます。

私も引き続き精進してまいります。
(一年半ぶりの投稿でUIの使い方をすっかり忘れていました……)

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