渋谷ワンダーランド

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渋谷のTSUTAYAで働く俺はレンタルDVD『渋谷ワンダーランド』を延滞している客に返却を催促する電話を入れた。
「返してもいいけど、でも再生止めたら、渋谷もあなたも消えちゃうよ。それでもいい?」
おかしな言い訳だ。
「返却日はとっくに過ぎておりますので」
「信じてないわね。あなたはDVDの中の人なのよ? あ、店長があなたにレジを頼みに来るわよ」
ドアが開き、店長が顔を出す。
「レジ頼む」
全身に鳥肌が立った。
「レジに立ったらカボチャお化けの被り物をした強盗に気をつけて。あなたに銃を構えるわ」
レジに立つとカボチャ男がやってきて銃を構え、引き金を引いた。
次の瞬間、弾丸が宙で静止した。
外れた受話器から女の声が漏れる。
「一時停止したの。これで信じる?」
俺は頷こうとしたが動けない。女が笑う。
「でも残念。あなたは弾丸をかわせない。だってこれ、DVDだもん」
そして一時停止が解除された。
ホラー
公開:19/11/17 21:40
渋谷 レンタル DVD TSUTAYA

蟲乃森みどり( 太陽から三番目の石 )

ある朝、目が覚めると蟲乃森みどりの人生はショートショートに変わっていた。目に映る景色、耳に聞こえる音、頬に触れる風の感触、彼女をとりまく世界のすべてが物語の息吹に満ちていた。みどりは自身の肉体と精神が謎めいた物語によって形作られていることを知ってしまったのだ。

Twitterにて54字の物語はじめました
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「猫のパン屋とケムリ猫」ラジオ月の音色 第144回 月の文学館新人賞
「渋谷ワンダーランド」渋谷ショートショートコンテスト優秀賞

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