シブヤノヒカリ

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東急百貨店本店の正面入口にあるクリスマスツリーの前で彩は恋人を待っていた。雑踏の中から晃が駆けてきた。彩は人違いと分かって笑顔を消す。彩の隣に立ち、晃も恋人を待っていた。
二人は胸にプレゼントを抱えていた。
やがて22時半が過ぎ、ツリーの電飾が消された。二人はまだそこにいた。
不意に彩が泣き出した。
晃は驚いたもののハンカチを差し出す。
「お互い、フラれちゃったみたいだね」
彩は晃のハンカチで涙を拭い頷く。
「よかったら、お互いに交換しません? プレゼント」
「え?」
彩は戸惑いながら晃とプレゼントを交換した。
「うわっ、マフラー! 手編み? 重っ!」
「あなたの方が重いわよ! 指輪なんて!」
彩が晃に返そうとするが、晃は彩の指に指輪をはめてみた。サイズはピッタリだった。
その瞬間、背後のツリーが再点灯され、指輪が輝いた。二人は呆然とツリーを見上げた。
ツリーの背後でサンタが微笑んでいた。
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公開:19/11/17 17:32
更新:19/11/17 20:20
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空想と妄想が趣味です。

 

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