『看板のピン』
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ちょいと昔のお話。
若い衆がチョボイチ(賽子一つの博打)をやっておりますと、隠居の老親分がやってきました。
若い衆は往年の博打打ちである親分に壺振りを頼みます。
「さあ、お前ぇら幾らでも張んな」
ここで一人の若い衆が何かに気づいたようです。
「おい、見ろよ。壺に賽が入ってねぇぜ」
壺の横では、賽が赤いピン(1)の目を上にしております。
「ここで有り金全部ピンに張れば……へっへっへ」
若衆達はこぞってピンに張ります。
「張ったか?そんじゃ、看板のピンはこっちに避けて」
「え、看板……い、いや、まだだ。六つに一つで中もピンだ」
「いざ、勝負!」
「よっしゃ!ピン!」
「まてまて、そんなに急くから手前ぇらは半人前てぇ言われんだ。よーく見てな」
すると、ひとりでにぽーんと賽子が跳び上がるます。
「ほれ、出た目は五だ」
「えええ!」
「馬鹿野郎。ピンははねるもんだ。全部とは言わねぇ、一割貰ってくぜ」
若い衆がチョボイチ(賽子一つの博打)をやっておりますと、隠居の老親分がやってきました。
若い衆は往年の博打打ちである親分に壺振りを頼みます。
「さあ、お前ぇら幾らでも張んな」
ここで一人の若い衆が何かに気づいたようです。
「おい、見ろよ。壺に賽が入ってねぇぜ」
壺の横では、賽が赤いピン(1)の目を上にしております。
「ここで有り金全部ピンに張れば……へっへっへ」
若衆達はこぞってピンに張ります。
「張ったか?そんじゃ、看板のピンはこっちに避けて」
「え、看板……い、いや、まだだ。六つに一つで中もピンだ」
「いざ、勝負!」
「よっしゃ!ピン!」
「まてまて、そんなに急くから手前ぇらは半人前てぇ言われんだ。よーく見てな」
すると、ひとりでにぽーんと賽子が跳び上がるます。
「ほれ、出た目は五だ」
「えええ!」
「馬鹿野郎。ピンははねるもんだ。全部とは言わねぇ、一割貰ってくぜ」
その他
公開:20/01/26 11:10
短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー
目にも止まらぬ遅筆を見よ!
twitterアカウント:hyoro4779
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