『同窓会』

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十年ぶりの同窓会で会った顔は、みな何処かにあの頃のあどけなさを残していた。
私たちは界輪町立界輪中学校の最後の卒業生だ。校舎は今時珍しい古い木造。樹の香りがするものだった。それも今は取り壊されて残っていない。
「なっちょ、あのじーさん誰?」
太陽が当時のあだ名で声をかけてきた。本名の千夏がいつのまにか逆さになって"なっちょ"。この名を知っているのはあのとき学校にいた人たちだけだ。
「わかんない。先生達はみんな来てるし......」
首を捻っていると、当の老人がこちらへやってきた。
「おお、なっちょか。いや美人になったもんだ」
老人は歯を見せて笑った。
この人、なんで私のあだ名を?学校関係者?
疑問の表情を察してか、老人は答えてくれた。
「なんでも知ってるぞ。3年間ずぅっと見守ってきた子達だからね」
不器用なウインク。彼からは懐かしい樹の香りがした。
青春
公開:20/01/15 22:10

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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