駄作量産マシン
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完成したばかりの装置を見て満足げな博士に助手が訊ねた。
「何ですかこれは?」
「人工知能によって駄作の小説を量産するマシンだ。出版不況の救世主となることだろう」
「それのどこが出版不況を救うのです? 本がますます売れなくなって逆効果では?」
「何もわかっておらんな。つまらない小説が世に溢れれば小説家はどう思う?」
助手は首を傾げる。
「自分の書く小説はこれに比べたら遥かにマシだと自信が湧いてどんどん書く。やがて傑作も生まれよう。傑作が多く世に出れば本が売れて市場も活性化する」
「はあ、そう上手くいきますかね」
博士の予想は半分当たり、半分外れた。駄作量産マシンの作った小説が「そんなにつまらないなら読んでみよう」と売れに売れて出版業界が活況を呈した半面、作家達はさらに自信を失い、次々と筆を折ってしまった。
作家ほど自信過剰の割に傷つきやすく、気分屋の面倒くさい生き物も他にいないのである。
「何ですかこれは?」
「人工知能によって駄作の小説を量産するマシンだ。出版不況の救世主となることだろう」
「それのどこが出版不況を救うのです? 本がますます売れなくなって逆効果では?」
「何もわかっておらんな。つまらない小説が世に溢れれば小説家はどう思う?」
助手は首を傾げる。
「自分の書く小説はこれに比べたら遥かにマシだと自信が湧いてどんどん書く。やがて傑作も生まれよう。傑作が多く世に出れば本が売れて市場も活性化する」
「はあ、そう上手くいきますかね」
博士の予想は半分当たり、半分外れた。駄作量産マシンの作った小説が「そんなにつまらないなら読んでみよう」と売れに売れて出版業界が活況を呈した半面、作家達はさらに自信を失い、次々と筆を折ってしまった。
作家ほど自信過剰の割に傷つきやすく、気分屋の面倒くさい生き物も他にいないのである。
SF
公開:20/01/12 07:00
小説
作家
駄作
出版
不況
空想と妄想が趣味です。
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