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「お母さん、行ってきます」
息子はいつものようにランドセルを背負うと2階の窓から翼を広げて飛び立っていった。
私の胎内から出てきた時、あの子には腕の代わりに翼が、口の代わりに嘴が生えていた。環境汚染の実態をマスメディアが一切報道しなくなって以来、このような突然変異の子供が生まれることは珍しくなくなっていた。私達夫婦も最初こそ驚いたものの、よくあることと知って今では気にならなくなった。ただし食事の際は鳥のように嘴で食べ物を啄まなくてはならないから給食を盛り付ける筒型の食器を持たせなくてはならなかった。
当初はヒト型の子供達による苛めもあったが、鳥の姿をした子供の割合がクラスの中で増えるにつれて沈静化していった。
この子達が大人になって社会へと出て行く時、ヒト型の私達は少数派へと転じる。そうすれば翼を持つ新人類に対する我々の偏見や差別も解消され、多様性を認める成熟した社会が訪れる……だろうか?
ファンタジー
公開:20/01/23 07:00
環境汚染 突然変異 学校 いじめ

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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