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遠い戦場で慟哭する兵士の頬を流れ落ちた一筋の涙はやがて一羽の空色の小鳥へと姿を変え、嵐に巻き上げられ、雷雨となって地上を潤した。
大地には緑が芽吹き、一面の花畑となった。その花畑に建つ教会で誓いのキスを交わす花嫁の瞳から流れた涙が白い鳥となって空へと還り、瓦礫と化した彼方の街に黒い雨となって降り注いだ。
傷だらけの心と体で徘徊する少女の目に微かに残った涙は赤い鳥へと変わって、血塗られた大地に染み込んで虚しく消えた。
人間の愚かしさに天が泣き、その降り注ぐ涙は虹色の小鳥の群れに変わって地上に舞い降り、廃墟と化した大地に再び緑が芽吹いた。
生きとし生けるものが流した涙で満ち溢れた海から青く輝く鳥達が飛び立ち、暗黒の宇宙へと羽ばたいた。
その儚くも切ない鳴き声は果て無き闇へと木霊して、いつしか命の鼓動へ変わる。
さあ、耳を澄ましてごらん。
星々の囁きのさなかに聞こえるだろう。
新たな命の産声が。
ファンタジー
公開:20/01/21 07:00
更新:20/01/18 01:04
小鳥 戦争 破壊 再生

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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