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私は妻と二人で小さな帽子店を経営している。開店当初は赤字続きだったが、妻と結婚してからは客が殺到するようになった。それというのも妻が調達してくる青い羽根を帽子につけて売るとそれを被った人に幸せが訪れると評判になったからだ。ただし妻が調達してくる羽根は日に数枚程度だから作れる帽子の数も少ない。羽根ではなく翼が手に入ればより沢山の帽子を作って売ることができるのに。羽根の調達先を妻に訊ねたがはぐらかされた。そこである夜、外出した妻を尾行することにした。
彼女は近所の森の中へ入っていくと満月を見上げた。するとその背中から輝く青い翼が生えた。妻は翼に手を回すと羽根を毟り取って籠に入れていく。私は驚きのあまり腰を抜かし、妻に気づかれた。
妻は悲しそうに笑うと一羽の青い鳥に姿を変えて飛び立っていった。
「君はあの時の……」
私は妻と知り合う前に傷ついた一羽のオオルリを保護し、手当てしたことを思い出した。
彼女は近所の森の中へ入っていくと満月を見上げた。するとその背中から輝く青い翼が生えた。妻は翼に手を回すと羽根を毟り取って籠に入れていく。私は驚きのあまり腰を抜かし、妻に気づかれた。
妻は悲しそうに笑うと一羽の青い鳥に姿を変えて飛び立っていった。
「君はあの時の……」
私は妻と知り合う前に傷ついた一羽のオオルリを保護し、手当てしたことを思い出した。
ファンタジー
公開:20/01/20 07:00
更新:20/01/18 01:18
更新:20/01/18 01:18
帽子
羽根
翼
オオルリ
空想と妄想が趣味です。
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