怪盗黒猫と天使の涙

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怪盗黒猫は自ら発明した機械の翼で夜空を飛んでいた。目指すは塔の最上階。そこに天使の涙という宝石がある。

黒猫は塔に忍び込んだが宝石は見当たらず、代わりに一人の少女が幽閉されていた。
「私を連れて行って頂けませんか」
青い瞳を潤ませて少女は言う。不憫に思えて黒猫は少女を連れていくことにした。
「逃がさんぞ!」
黒猫が少女を抱いて塔から飛び立ったそのとき、蝙蝠男爵が現れた。激しい空中戦の末に黒猫は男爵をやっつけた。だが男爵が墜落する際に黒猫の機械の翼を壊した。
黒猫と少女が夜空を真っ逆さまに落ちていく。海面にぶつかる寸前で少女の背に光の翼が生えた。少女は羽ばたくと黒猫と月夜を舞った。
「私はあの悪者の魔力で翼を奪われ、閉じ込められていました。助けて頂いたのに何もお礼ができず申し訳ありません」
天使はポロポロと涙をこぼした。
黒猫は天使の涙をそっと拭うと笑う。
「こいつが今夜の最高のお宝さ」
ファンタジー
公開:20/01/13 20:00
黒猫 天使 怪盗 宝石

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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