揺り籠から墓場まで
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私には先祖から受け継いだ「家」がある。家といっても普通の家とは違う。まだこの世界に生まれたばかりの頃、それは私を優しく包む繭型の揺り籠となって宇宙を漂っていた。やがてある惑星に漂着すると、それは幼少の私が一人で暮らすにはちょうど良いサイズのカプセル型の家に変形した。私の体の成長に合わせて徐々に家は大きくなっていき、伴侶ができ、子供ができるという人生の節目に合わせて必要な部屋数も増えていった。
成長の後は衰退へと向かうのがこの宇宙における法則。子供が就職、結婚して家を出ていき、妻が亡くなるという節目ごとに家の部屋数と広さも徐々に縮小していき、老人となった私が独りで暮らすにはちょうど良いサイズの空間となった。
「今までありがとうよ」
柱を撫でると、家はまるで呼吸をするようにゆっくりと伸び縮みした。
私の命が尽きた日、家は棺桶型のカプセルに変形して私を優しく包み、再び無限の宇宙へと飛び立った。
成長の後は衰退へと向かうのがこの宇宙における法則。子供が就職、結婚して家を出ていき、妻が亡くなるという節目ごとに家の部屋数と広さも徐々に縮小していき、老人となった私が独りで暮らすにはちょうど良いサイズの空間となった。
「今までありがとうよ」
柱を撫でると、家はまるで呼吸をするようにゆっくりと伸び縮みした。
私の命が尽きた日、家は棺桶型のカプセルに変形して私を優しく包み、再び無限の宇宙へと飛び立った。
SF
公開:19/12/30 10:23
節目
家
空想と妄想が趣味です。
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