先生、さようなら

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先生の葬儀という節目が、奇しくも僕達が久しぶりに再会する機会となった。学生時代は何をするにもいつも一緒だったのに、東京で就職してからは日々の暮らしの忙しさにいつしか連絡が途絶えてしまっていた。
先生の御遺骨を拾ってから僕達は誰からともなく学校の裏山へ向かって歩いた。夏になると先生の暗唱する宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を聞きながら一緒に天体観測をしたあの場所へ。
道すがら、音楽室の古いオルガンで先生がよく演奏してくれた『星めぐりの歌』を皆で口ずさんだ。一瞬だけ、子供時代に戻った気がした。
そのとき、どこからか汽笛が響いてきた。夜空を見上げると、天の川の只中を一本の汽車が渡っていく。
「先生、さようなら! ありがとうございました!」
僕達は涙を拭い、口々に叫んだ。

先生が僕達の心に灯してくれた希望という名の光は今もこの胸で温かく燃え続け、先の見えない人生に迷ったときの「目当て星」となっている。
ファンタジー
公開:19/12/23 12:00
更新:19/12/23 11:27
節目 銀河鉄道の夜 宮沢賢治 先生 葬儀 星めぐりの歌

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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