『味を盗む』

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「一同の者、面を上げい。さて、菓子職人善助、主はこの度何故この白州に座らせられたか、聞き及んでおるか」
「私の作った”摩訶崙(まかろん)”のことで、フランス人商人から訴状が出たとか」
「左様。主が真似て作った摩訶崙が売れに売れたおかげで、フランスからわざわざ持って来た本家のマカロンがさっぱり売れぬそうだ。
 フランス人たちは模倣(コピー)には磔(はりつけ)をと怒っておる。
 藩主からは彼らの意に従えと来ておる」
「それじゃあ、私は……。
 お奉行様、あれはただの模倣ではありません、私がこの目で見、舌で味わったものを日本人好みに調整したものでございます」
「それは聴いておる。主のような腕を持つ者、亡くすには惜しい
 うむ、儂は決めたぞ。
 では、処置を言い渡す。菓子職人善助、其方を一刻の正座の刑に処す」
「ありがとうございます、お奉行様」
「なに、菓子のことだ。甘くもなろうというもの」
その他
公開:19/10/05 19:56
更新:19/10/08 21:31
コピーペーストマカロン スクー

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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