商人と刀鍛冶

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「おーい、6代目、いるかい?」
「おや、薄利屋さん。どうぞお上がりになって。今茶を入れます」
「すまないね、なまくらさん。しかし、平和な世になったものだねぇ。これもなまくらさんの尽力のおかげだよ」
「いえ、私など。尽力したのは初代から先代。そして、薄利屋さんです」
「うむ。そもそもの始まりは初代なまくらと家のご先祖様が手を組んだことからだからな」
「ええ、初代の理想は戦を無くすこと」
「初代が普通よりちょっと切れ味の悪い刀を打ち、それを家の先祖が破格の値段で各地の領主に売り歩く」
「お得意様となって頂いたところで、刀の切れ味を少しづつ落としていく」
「地道に5代6代と続けた結果、戦は無くなった」
「切れぬ刀では戦などできません」
「天下はなまくらと家に一杯食わされたわけだ」
「どちらも営利(鋭利)を目的としなったのが功を奏したのでしょう」
「うむ。だからこそ、こうしてのんびり茶が飲める」
その他
公開:19/09/13 19:58

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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