ガチャ婚

最近、ガチャ婚が流行っている。
縁結びで名高い某神社の境内に設置されたガチャガチャの機械を回すとカプセルが出てきて、その中には運命の相手の連絡先が記された紙が入っている。料金は1回20万円。少々値は張るがハズレはなく、しかもレアであるイケメンや美女、大金持ちを引き当てれば人生の幸せが手に入ると大盛況。連日、男性用、女性用、性を超越した人用と分けられた機械の前には長蛇の列ができていた。
これまで良縁に恵まれなかった詩織も列に並びガチャガチャを回した。カプセルから出てきた紙には連絡先の他に顔写真と収入額が印刷されている。なかなかのスペックに詩織は思わず微笑んだ。
その頃、人件費の安い某開発途上国の製造工場では24時間フル稼働で日本出荷用のクローン人間が大量生産されていた。少しでも安いコストで質の良い結婚相手を安定的に供給するためには通貨価値の低い国の労働力を搾取しなくては成り立たないのだった。