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その白銀の長い鬚を撫でながら時の翁は言った。
「生きとし生けるものは皆、それぞれの寿命に合わせた砂時計をその胸に携えて地上に降りる。砂と言ってもそれは命の砂だがな。命の砂は煌めきながら未来から過去へ留まることなく流れ落ちる。オリフィスという時の狭間を通過して。人間はその括れを今この瞬間、即ち現在と呼ぶ」
翁は骨ばった指で私の砂時計の括れた部分、つまり現在を指した。私の命の砂は間もなく落ち切ろうとしていた。
「さあ、おいで」
翁は私を抱えると私の砂時計から遠ざかった。見る間にそれは周囲を取り巻く無数の砂時計と共に輝く一粒の砂に変わり、銀河のように渦を巻きながら過去へと落ちていく。全ての命は巨大な宇宙の砂時計の中を落ち続ける一粒の砂に過ぎなかった。
「人が人生の節目などと呼ぶ生老病死も宇宙の時の中では意味を持たない。だから、何も怖がることはないのだよ」
翁の腕の中で私は静かな眠りについた。
ファンタジー
公開:19/11/05 12:46
更新:19/11/10 20:49
節目 人生 砂時計 宇宙 銀河

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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