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美術展でゴッホの自画像を見た。心打たれてその自画像の絵葉書を買って帰った。翌朝、起きてみると机の上が濡れていた。水の出所は絵葉書の中のゴッホの青い瞳だった。僕の芸術を誰も理解してくれないと彼は言って涙を流した。私は不憫に思えて涙を拭いてやり励ました。今やあなたの絵は世界中で愛されているから心配いらないよと。
皆は僕の絵を愛しているんじゃない、僕の悲劇的な人生に同情しているだけだとゴッホは首を左右に振る。
まあ、それも含めての芸術じゃないと慰めると彼はまた泣いた。
面倒臭い男が苦手な私はアパートの屋上でその絵葉書を焼いた。その煙は曇り空に吸い込まれていった。途端に雨が降り出して私の肩を濡らした。部屋に帰ってシャワーを浴びると、肩に痒みを覚えた。見ると、そこには赤い肉が盛り上がり、ゴッホの顔ができていた。
こうして私の肩に寄生したゴッホは相変わらず泣き続け、汗染みのように服を濡らし続けている。
皆は僕の絵を愛しているんじゃない、僕の悲劇的な人生に同情しているだけだとゴッホは首を左右に振る。
まあ、それも含めての芸術じゃないと慰めると彼はまた泣いた。
面倒臭い男が苦手な私はアパートの屋上でその絵葉書を焼いた。その煙は曇り空に吸い込まれていった。途端に雨が降り出して私の肩を濡らした。部屋に帰ってシャワーを浴びると、肩に痒みを覚えた。見ると、そこには赤い肉が盛り上がり、ゴッホの顔ができていた。
こうして私の肩に寄生したゴッホは相変わらず泣き続け、汗染みのように服を濡らし続けている。
ホラー
公開:19/11/02 10:06
更新:19/11/04 11:42
更新:19/11/04 11:42
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空想と妄想が趣味です。
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