渋谷テトリス

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岡本太郎作《明日の神話》の炎を纏う骸骨が幽体離脱して夜の渋谷へと抜け出すと、空の彼方から巨大な光のブロックの群れを呼び寄せた。ハチ公像も負けじと幽体離脱して夜空へと駆け上がる。ハチ公が一声鳴く度にブロックは回転しながら夜空を滑ってビルの谷間に落ち、古いビル群と横のラインが一直線に揃うと光を放って次々に消滅していく。骸骨も闘争の炎を燃やして、これでもかと言わんばかりにブロックを落としまくる。一方でハチ公は光のブロックをビルの谷間に隙間なく配置し、手際よく消していく。そうして骸骨とハチ公のテトリス対決は夜通し続いた。街行く人々には彼等の姿も光のブロックも見えない。
やがて夜明けが訪れた。骸骨とハチ公の幽体が朝日に溶けてそれぞれ元の場所に戻ったとき、二者の対決は人知れず幕を閉じた。眩しい太陽の光に照り輝く渋谷の街は一夜にして最先端の都市に生まれ変わっていた。
これが渋谷の「明日の神話」である。
ファンタジー
公開:19/10/27 15:16
更新:19/10/28 01:14
渋谷 テトリス ハチ公 明日の神話 岡本太郎

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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