ツタヤのタツヤと眠り姫
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タツヤは渋谷のツタヤでバイトしていた。タツヤには実は密かに思いを寄せるバイトの先輩がいる。カンナという名のミステリアスな美女だ。深夜のシフトでカンナと並んでレジに立つとタツヤは嬉しくも緊張した。一方のカンナはどこかいつも眠そうだった。彼女の欠伸をする姿にすら見惚れながらタツヤは言った。
「眠いなら休憩して仮眠をとったらどうですか? 俺一人でも大丈夫なんで」
「ありがとう。でもダメ。私が眠ると世界が終わっちゃうから」
世界が終わるなんて大袈裟だなとタツヤは思ったが黙っていた。
翌日、タツヤがツタヤに出勤しようと渋谷駅に着くと街全体が茨に覆われていた。まさかと思ったが、どうやらカンナがバイト中に居眠りをしてしまったらしい。眠り姫を目覚めさせるためには確か王子のキスが必要だったはず。茨の棘に刺されて全身から血を流しながら、タツヤは暗い森の奥へと向かった。闇を照らす恋の炎だけをその胸に抱いて。
「眠いなら休憩して仮眠をとったらどうですか? 俺一人でも大丈夫なんで」
「ありがとう。でもダメ。私が眠ると世界が終わっちゃうから」
世界が終わるなんて大袈裟だなとタツヤは思ったが黙っていた。
翌日、タツヤがツタヤに出勤しようと渋谷駅に着くと街全体が茨に覆われていた。まさかと思ったが、どうやらカンナがバイト中に居眠りをしてしまったらしい。眠り姫を目覚めさせるためには確か王子のキスが必要だったはず。茨の棘に刺されて全身から血を流しながら、タツヤは暗い森の奥へと向かった。闇を照らす恋の炎だけをその胸に抱いて。
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公開:19/10/21 23:32
更新:19/10/27 13:14
更新:19/10/27 13:14
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空想と妄想が趣味です。
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