ぴちゃっ、ぴちゃっ……

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真夜中に目が覚めた。もうひと眠りしようと目を閉じたものの妙に目が冴えてしまった。
ぴちゃっ、ぴちゃっ……
台所の蛇口から水滴が垂れる音が響く。一度意識するとそればかりが気になってしまう。ベッドから飛び起きて蛇口を閉めても音は変わらなかった。結局一睡もできなかった。
会社のお昼に社内恋愛中の彼氏と食堂で食事をした。
くちゃっ、くちゃっ……
昨日までは気にならなかったが、彼は口を鳴らして食事をしていた。嫌悪感しかなかった。私は彼を置いて席を立つと仕事に戻った。
帰りの電車は地獄だった。スマホをいじりながらガムを噛む男のくっちゃら音やオジサンの鼾、喋りまくるオバサン達のぺちゃぴちゃという唾液の音が狭い空間に混然一体となって響いていたから。
何とか自宅に帰り着くと、蛇口が相変わらず、ぴちゃっ、ぴちゃっと水滴を垂らしていた。
台所の引き出しからアイスピックを取り出すと、私は自らの両耳をそれで突いた。
ホラー
公開:19/10/21 12:54
オノマトペ 擬音 不眠

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。
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