『老刑事』

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先ず隗より始めよ。総理の一言で、公務員の定年が80歳まで一気に引き上げられた。
巻き込まれた私は、未だ現職の刑事を続けている。
とはいえ体が資本の仕事、力を入れなければならない事件は自然若い者に任され、老いぼれには風化しきった事件しか回ってこない。つまりは閑職だ。
どこに隠れ続けているのか皆目手掛かりもない指名手配犯を今日も探し続ける。
それでも、机に座って書類の小さな文字を追うよりはやりがいがある。あれはもう目がついてこない。
首に下げたロケットペンダントを開ける。そこに入っているのは犯人の似顔絵だ。
機械音痴の私は、こうやって情報は手で持つしかない。
そういえば、さっき横断歩道を渡る雑踏の中に、似たような顔がいたような。
いや、勘違いということもあるぞ。脳もだいぶ古びているからな。
確認確認。
ペンダントを持つ手を目いっぱい伸ばし、首を前へ、後ろへ。
ううむ、この顔にピントが来ない。
その他
公開:19/10/10 20:43
スクー 警察ロケットペンダント

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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