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時代、季節、竹にナナフシに至るまであらゆるものには節目が存在する。実はその節目には鍵があり、それぞれが正しい組み合わせで繋がることで秩序が保たれている。冬の次には春が、平成の後には令和が来なければ世の中がおかしくなってしまう。ところが節目の鍵を盗み出し、その正しい順序をめちゃくちゃにしてしまう節目泥棒という犯罪者がいる。
私はその泥棒を追う刑事で、ついに犯人をビルの屋上に追いつめたのだ。
「観念しろ! もう逃げられないぞ!」と私は泥棒に叫んだ。
泥棒が掲げた両手には節目の鍵が握られていた。
「それをこっちによこすんだ!」
泥棒は一瞬の隙をついて私の前から消えた。
時代、季節、竹にナナフシに至るまであらゆるものには節目が……ん? 前に言ったことを繰り返しているような……しまった、犯人の奴め、私の人生の節目の鍵を盗んで過去と繋げ、自身の存在を消してしまった。何てことだ、また逃げられた。
ミステリー・推理
公開:19/10/10 22:07
更新:19/10/17 12:43
節目 泥棒 ミステリー 刑事

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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