母の漫画ノート

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父の葬儀が終わり、両親を失うという人生の大きな節目を迎えたある夜、不思議な夢を見た。
落書きのように不格好なドラゴンが歪な牙を剥きだして美しい王女を丸呑みにしようとしたその時、決してハンサムとは言えない一人の王子が現れて剣を振るって姫を救出するという筋立ての夢だった。王女と王子はどことなく若い頃の父と母に似ていた。
父の書斎を整理していた際に出てきた母の記したノートの中にその答えが見つかった。若い頃に漫画家だった母はエンディングノートも漫画仕立てだった。病気や介護のこと、葬儀のこと、財産のことなど、遺族への伝言も絵が入るとユーモラスで分かりやすい。その終わりには自分史を基にした描きかけの漫画があった。その漫画に絵心のない父が密かに加筆していたのである。それはまさに私が夢で見た物語そのものだった。
ノートの中で、王女と王子は永遠の愛を誓って、いつまでも幸せに暮らしている。
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公開:19/10/10 22:04
更新:19/10/17 12:51
節目 漫画 マンガ ノート ドラゴン 王女

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



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