注文の、とても多い料理店

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ほとほと人間関係に疲れて山奥を彷徨っていたら、不意に立派なレストランが現れた。看板に「西洋料理店 山猫軒」とある。ははん、あれだな。注文の多い料理店だなと思った。猫は好きなので、いっそ食われてしまうのも悪くない。
店に入ると案の定「泥を払え」「金物を置け」「クリームを塗れ」と注意書きが並んでいる。それに従ってずんずんと奥に進み、塩を揉み込んで最後のドアを開いた。やはり中から猫がわらわらと大勢出てきたが、何故か白衣を着せられて、連れていかれた場所はキャットフードのキッチンだった。
以来そこで働いている。「味が薄い」「肉が少ない」「もっとヘルシーに」と猫の注文は多いが、人間相手よりはずっとマシだ。まかないは三食猫まんまだけど。
一つ気になった事を猫に聞いてみた。「人間は食わないの?」すると「昔はね。今は不味いから誰も食わないよ」と言って笑った猫の口が耳まで裂けた。
ファンタジー
公開:19/07/01 23:21
更新:19/07/08 00:36

北澤奇実

慌てて書きましたが、七夕祭りに間に合いました!

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