昔語り ~ 太陽物語

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さぁさ 
今宵もばぁばの話を聞いとくれ

ウォルフはないた

闇迫る夜空に
朗々と響き渡る水晶の声で
いつまでもいつまでも哭いたのさ

それはウォルフが
ママと離れてしまったからさ
独りじゃ何もできやしないのに

それはウォルフが
一輪の花に恋をしたからだ
野辺にたたずむ物言わぬ花に

ウォルフは何を言われても
花の傍から離れようとしなかった

やがて花は散り
小さくしおれて地面に伏し
黒い種をはらりと落とした

ウォルフはその様を
じっと目に焼き付けてたんだ
恋をしたのは花の美しさじゃなかったからね

ウォルフは種をそっと拾って
大事に大事にポケットに入れ
あたりを見渡したけど
大切なママはもういなかった

ウォルフは暗い星空を
泳ぎかきわけママを探した
でもママはもう遠い所へ旅立った後

星空は沢山の渦を巻いて銀河になった

ウォルフはその真ん中で
今も水晶の声で哭いているというお話さ
ファンタジー
公開:19/07/02 16:53
更新:19/07/03 01:00
#太陽物語

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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