『猫の墓場』

2
7

猫は死に目を飼い主に見せへん言うけど、猫が死に目を見せに来るいう場所もあるんよ。
うっとこがそう。象の墓場ならぬ、猫の墓場やねぇ。
何の因果かわからへんけど、ウチはずぅっと前からもう何べんも何べんも猫を看取っとる。
おや、また一匹来はった。病気かねぇ。こんな痩せて、毛も抜けはって。
いっつもや。いっつもうちがお三味弾いとるときに来る。音ぇに魅かれるんかな。
この子らお三味の皮が猫の皮やて知っとるんやろか。知っててここに死にに来るんやろか。
ああ、この子目ぇ瞑った。もう最後の力やったんやろねぇ。
さっき何の因果か言うたけど、うち時々考えるんよ。この子らはうちに死に方を見せに来てるんちゃうかて。
こうやって死ぬんよ。こうやって天に昇るんよって。お手本を見せに来てるんと違うか。
こうしてずぅっとおんなしとこで、腐りもせず、成仏もできへんうちに。
ホラー
公開:19/06/27 19:13

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容