国として認められたネコ

『本日より猫が正式に国として認められます』
テレビによると全てのネコは国土であり文化であり国民だそうだ。僕はネコ吉に言った。
「おい、お前は国になったらしい」
ニャー、とネコ吉は答えた。

ある日、僕は掃除中にネコ吉のシッポを踏んでしまった。
ギニャア！とネコ吉が叫ぶ。と、いきなり黒服の男達が部屋に入ってきて、僕は拉致された。

「君には容疑がかかっている」
狭い部屋に閉じ込められ、ずっと取り調べが続いている。
「一体なんの容疑です？」
「パスポートなしの海外渡航、国土侵犯、そして、宣戦布告なしの戦争。世紀の大犯罪者だな」
「めちゃくちゃだ」
すると別の黒服が部屋に入ってきて目の前の黒服に耳打ちした。
「よし、帰ってよし」
そして僕は釈放された。

『猫を国と認めると牛や豚、鶏も国となる懸念があり、猫は国としての認定が取消されました』
「おい、お前は国じゃないそうだ」
ネコ吉はアクビした。