最高のパス

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現場に着くと、家財道具一式積んだ船に乗ったおっさんが、沼の上に浮かんでいた。政府職員が、拡張器で注意しているが無視。
「烏森アキラです」
僕は政府職員にIDを見せた。
「それは最高のパス。あなたが」
「状況は?」「報告した通り、ここは飛行沼なので、いつ飛んでもおかしくありません。今日で立ち退き期限が終わりです。では、よろしくお願いします」そういうと職員はそそくさと逃げ出した。
「えー現場担当は私、烏森に代わりました。よろしくお願いします」
「うるせえ帰れ!」
「その沼は危険です。命は惜しくないんですか」
「俺は世捨て人だ、いつ死んでもいい!誰にも迷惑かからねえとこで死にてえんだ」
「なるほど」
僕は一気に船に飛び乗った。
「なにを…」
僕は男を沼に投げ込んだ後、男がもがき苦しみながら沈んでいくのを眺めた。
生まれつき共感する力がない僕にはこのような解決方法が許される。
本当に最高のパスだ。
SF
公開:19/06/24 21:18
更新:19/06/24 21:35

大海原 天空( 東京 )

田丸先生のショートショートの手法のおかげで、長年溜め込んだ「小説書きたい熱」が発散できるようになりました!
ご感想・ご意見をお待ちしています、よろしくお願いします^^

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