魔女の使い魔

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「トト、お前の子ども、大切にしてくれる者に託すから、ちょいと見せておくれ」
 やだ、絶対やだ。使い魔という束縛が弛み、ずっと片思いしていた娘に自分の子どもを産んでもらったばかりなのに、魔力の糧にされてたまるか!
「トト、お前の子ども、とっちゃ食いなどせんよ。白の魔女としてお前に誓う」
 ……えっ? 主に僕達の子ども、見せろと? わかった。
 おいらはしぶしぶ魔女に、子どもを見せることを許した。
「どの子もいい猫だ。……おや?」
 魔女の手が止まる。おいらも気づいた。その目線の先の子猫の背中に対の翼があることに。
 魔女に聞いたことがある。使い魔の猫の中に、翼を持つ猫が生まれることがあり、その猫は英雄の片腕となる人物の良き相棒になると。
 主よ、その話がまことなら、我が子がその人物と巡り合うまで、守護してくれますか?
 魔女は、己の命があるかぎり護ると誓った。
 
 

 
 

 
 
 
ファンタジー
公開:19/06/24 22:09
更新:19/06/25 08:18

大西洋子( 滋賀 )

ショートショート、童話中心に活動しています。

ショートショートガーデン空想競技2020入賞


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