『不変と縁』
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緑深き山の中、舞を舞う娘が一人。
「紫乃よ、よい舞であった」
鬼が大きな手を叩く。舞を終えた娘は静々と鬼の方へ。
「今日の舞は何というのだ?」
「題はございません。
風の流れ、葉擦れの音。それらを感じるまま手足を動かしたのでございます。強いて名付けるなら”出鱈目”と」
「ふむ、素晴らしいな。
我ら鬼は語られて在る不変な存在。創意工夫というものが出来ぬ。
対して人間は定命であるが故に新しいものを生み出し、変化し続ける。
このおにぎり一つとってもそうだ」
鬼は大きな握り飯を頬張る。
「主が作るものは毎日具が変わる。我らにはできんことだ」
「一つ指摘を。"鬼斬り"は縁起が悪うございます。呼ぶならば縁を結ぶ”お結び”と」
「縁か」
「結んでみますか?不変の者と定命の者なら、新しき縁も生み出せましょう」
「ならば紫乃よ、この先もずっと、添うてくれるか」
娘はこくりと小さく頷いた。
「紫乃よ、よい舞であった」
鬼が大きな手を叩く。舞を終えた娘は静々と鬼の方へ。
「今日の舞は何というのだ?」
「題はございません。
風の流れ、葉擦れの音。それらを感じるまま手足を動かしたのでございます。強いて名付けるなら”出鱈目”と」
「ふむ、素晴らしいな。
我ら鬼は語られて在る不変な存在。創意工夫というものが出来ぬ。
対して人間は定命であるが故に新しいものを生み出し、変化し続ける。
このおにぎり一つとってもそうだ」
鬼は大きな握り飯を頬張る。
「主が作るものは毎日具が変わる。我らにはできんことだ」
「一つ指摘を。"鬼斬り"は縁起が悪うございます。呼ぶならば縁を結ぶ”お結び”と」
「縁か」
「結んでみますか?不変の者と定命の者なら、新しき縁も生み出せましょう」
「ならば紫乃よ、この先もずっと、添うてくれるか」
娘はこくりと小さく頷いた。
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公開:19/06/10 11:50
スクー
おにぎり創作ダンス
短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー
目にも止まらぬ遅筆を見よ!
twitterアカウント:hyoro4779
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