『鬼遊月(かんなづき)』

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おお、よう来てくっだ。おめさまが電話さくれた東京の民俗学のセンセェか。
今日から泊りがけで調査するとか。田舎の家じゃ、空いてる部屋さ好きにつこうてけれ。
知っての通りここいらの集落の10月は鬼が遊ぶ月と書いて"かんなづき"だ。
昔ここいらには人喰い鬼がおったて話での。そん鬼を封じたのがここの土地神様だ。
んで10月はこっから神様がいねぐなる。鬼も甦っから、ここでは赤ん坊から爺婆まで10月の間は鬼装束を着て鬼に成りきるだ。
神社の縁日にお面屋さ出るんは、みぃんなお面を被って人と神様の区別をなくすため。
こん鬼装束も役割はおんなじだぁ。鬼になれば鬼に食われねけ。
おっと、こんげ話はセンセェには釈迦に説法かの。
ほい、これが鬼装束だ。明日から10月だでな、今夜のうちに用意さしておくだ。
けっど、もうちぃと早く電話さもらえたらなぁ、センセェの分も用意できたんに。
いや、残念だぁ残念だぁ。
ホラー
公開:19/05/26 16:43
スクー 甦る鬼ごっこ

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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