夏蝉 ~ 太陽物語

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まだ神様が人の言葉を話していた頃のお話

エメラルドの身体と水晶の翼を持つ美しい森の精が
トネリコの木に住んでいました
森の精もトネリコもお互いのことが大好きでした

ある朝、森の精がお散歩してると
クワガタが一目で恋をしてしまいました

黒い身体を震わせながら、クワガタが向かって来ます
森の精は恐ろしくなって、トネリコの優しい木陰に隠れます

毎朝、クワガタはトネリコの木にやって来ました
だけど枝葉が邪魔して、森の精には近づけません
「いつかこの手で捕まえてやる!」
クワガタは恐ろしい声で、大きなハサミをガチガチさせます

森の精ははらりと涙を流しました
「このままでは、お日様にも会えないわ。」
「大丈夫。君に触れさせやしないさ。」
そう言うとトネリコは森の精の身体を優しく包みました
「僕がいいというまで根っこに隠れているんだよ」

そうして森の精は、美しい夏蝉になりました
今は昔の物語
ファンタジー
公開:19/07/22 08:29
#太陽物語

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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