アメフルヨルヒ

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その日は雨だったの。

猫予報がでていたから、
猫じゃらしとか、マタタビとか用意していたのだけど。
やっぱり雨になっちゃって。

猫って、おヒゲが濡れるの、イヤじゃない?
だから私、ウチの仔が雨で帰れなくなっていないか、
少し近所を観て歩いたの。

そうやってしばらくしてたら、
いつの間にか雨が止んで、
満月が、お空を明るく照らしだしてね。

その時だわ。
空一面に、あんなにたくさんの猫たちが舞ってね。

満月にキラキラ瞬いて、
猫背をくるりと丸めながら、
心地よさげに目を細めながら。

ゆんわりゆんわり、
お空の遠く、たくさんの仔たちが舞い昇っていったの。

時折、可愛らしい猫なで声が響くのだけど、
リィン、リィンと鈴音と重なりながらこだましてね。

あんまりにも奇麗なものだから、
私、猫じゃらしもマタタビもすっかり忘れてしまって。

きっとあの仔。
あの幸いの中に逝ってしまったのだわ。
ファンタジー
公開:19/07/02 19:14
更新:19/07/06 01:39

やまのまや( 東京 )

目を留めていただいて、ありがとうございます(^^)

さぁさ! もの語りをはじめよう

400文字の小箱の奥に
ぎゅっと詰まった言の葉と

明けた途端にポンと広がり
はらり舞い散るヒトハシのムゲン

垣間見えるは神か悪魔か
ひと筆つづりて 心留め置き
今日も今日とて 世界を創る

さぁさ! もの語りが始まるよ!

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