『春の雪』

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ワシが冬将軍の軍隊の殿(しんがり)を命じられたのは、かれこれ300年も前だったかのう。
「垂氷(たるひ)、お主を吹雪隊から余寒隊の殿に移ることを命ずる。我が軍の最後尾ぞ。心して努めよ」
ワシは舞い上がった。そして浮かれた気分のまま一計を案じたのじゃ。
その年の春は遅かった。卯月になってもまだ雪が降っておった。
と、いうのも殿のワシが一人ゆっくりゆーっくり歩いておったからな。
ワシは元吹雪隊の力を生かして山はおろか、郷もどこも吹雪かせた。
そんな状態のなか、ワシは機を見て一気に駆け出して本隊に追いついたのじゃ。
いっぺんに春が来て、雪吹雪は瞬く間に花吹雪に変わった。
人間のぽかんとした顔は見物じゃったぞ。
ふふ、なに、若気の至りじゃ。第677代冬将軍の昔話じゃよ。
ファンタジー
公開:19/03/28 20:34

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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