『化けくらべ』

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俗に「狐七化け、狸の八化け、鼬(てん)の九化け」と言います。
昔、ある山にこの三匹の獣が住んでおりました。
あるとき、
「ひとつ化けくらべじゃ。儂は七、狸は八、鼬は九のつく物に化けると括ろう」
と狐が言いました。
まず第一回戦は鳥勝負。
狐は七面鳥に化けました。狸は八頭(やつがしら)。鼬は九官鳥です。
この勝負は甲乙つけがたく引き分けとなりました。
というわけで第二回戦の道具勝負です。
狐は七輪、狸は尺八、鼬は九谷焼。
「どうだこの艶。これは俺の勝ちだな」
狸の尺八がふんぞり返ると、
「残念、僕の勝ちです」
鼬の九谷焼からお化けがもくもく出てきました。
「ひゃあ」
狐と狸は吃驚して逃げ出します。
「僕のは九十九神なんですよ」
鼬は笑って言いました。
さて、山の麓まで逃げた二匹はというと。
「流石は鼬じゃ」
「俺たちの七化け八化けでは敵わぬ。九だけにさんざん(3×3)な目に遭った」
ファンタジー
公開:19/03/20 20:08
妖怪 百鬼夜行シリーズ

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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