ブランケット

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頭からすっぽり毛布を被って女の子は部屋へ入ってきた。そこに知らない服が置いてある。言われた様に身につけている物を全て外して、その服を着た。薄桃のワンピースの上に紺のコートを木のボタンで留める。髪を三つ編みして黄色いリボンで結ぶ。革靴は使い込んだ物だったが、ぴったりした。身支度を整えると女の子はまた毛布を被って次の扉を開いた。そこはホールで先生が立っていた。
先生は、ここでの物は全て置いていく様にと言った。女の子は暫く黙っていてから毛布を抱いて、この子も置いていくの?と訊いた。先生が頷くと女の子はまた黙った。黙ってから毛布に顔を埋めて頬擦りした。何度も何度も。
先生に毛布を渡すとホールの扉が開いた。草が翻り太陽の匂いがする。咄嗟に足を踏み出した。初めての青空。女の子は我慢ができず駆け出した。土に触れる靴が焼ける様に走った。もう背後に残した皆々が千切れて綿雲になっていくのも気づかない程だった。
その他
公開:19/03/17 17:36
更新:19/03/20 23:42

北澤奇実

慌てて書きましたが、七夕祭りに間に合いました!

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