その瞬間がNOPしたい

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彼の電脳は芥子【パヴォ】と呼ばれていた。私は囮である5基の軍事衛星を経由して芥子にダイブする。障壁の突破に4基の衛星が撃墜された。
彼の心象世界は広大な芥子畑だった。中程に独りの少女が夏の制服を着て立っているのが見えた。それが彼のアニマだ。少女は驚き私を見た。私は3ナノ秒の差で芥子の環境変数を掌握した。既に百発の弾道弾が私の脳殻の在処に向けて発射されていたが、着弾までの時間は電脳空間に於いては永遠に等しかった。
私は風を起こした。少女は阻止すべくundoを唱えたが、綿密な計算による風はそれより早く彼女のスカートの物理面にヒットした。スカートはゆっくりと舞い上がった。芥子の花が開く様に。
パンチラだ。私は周囲1秒間を拡張し、その映像を複製して全視野に展開した。マンダラだ。その一瞬に少女は羞じらいの声を上げた。マントラだ。
パンチラマンダラマントラだ。私の脳殻を満たす芥子の花が咲き狂っていた。
SF
公開:19/04/30 23:59
更新:19/05/01 15:43
undoodnu祭り

北澤奇実

前回の投稿から一年近く経っていました。びっくりしました。
そしてSSGに初投稿からそろそろ6年です。自分の変わらなさに、改めてびっくりしました。

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