婿を投げる

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「婿投げ」がオリンピックの公式種目になって十年が経った。日本の北陸のお祭りが発祥だ。
高い投婿台の上に夫と二人で立つと、やっとここまで来たんだなと感じる。これが新しい一歩だ。
目を見交わしてから夫の両足首を掴む。ジャンプする夫に合わせて、その身体を持ち上げると、すぐに私はハンマーを投げる様にスピンを開始する。1回2回、私の回転に合わせて夫は加速して、その頭部は音速に達する。ソニックブームと共に私は夫を投擲した。夫は中空で静止したかと思うと輝く魚の様に身を捻り両手の扇子を開いた。そのまま綺麗な弧を描いて投婿台の下の雪原へと落下する。
婿投げの本番はここからだ。雪に没すると思われた夫の身体はスレスレのところで浮き上がった。これが夫婦の惹かれ合う力・惹力だ。ピンと伸びた夫の身体は雪原の上を滑る様に飛んでいく。すごい。飛んでる。これが私たちの力なんだ。
夫の扇子の日の丸に、私の胸もキュンと跳んだ。
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公開:19/04/20 00:59
更新:19/04/20 17:19
結婚祭り

北澤奇実

慌てて書きましたが、七夕祭りに間に合いました!

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