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年末。初めて彼女の家へ挨拶に行く途上で、梨々は「私の家族、ちょっと変わっているの」と言った。「どんな?」「家族って言うより、果族かな」「裸族?」
桃男さんと名乗った梨々のお父さんの頭には、太い蔓が生えていた。「どうぞ、お楽に」ツヤツヤとした健康的な丸顔だ。いや、それよりも樹だ。巨大な樹が家の中心に生えていて、その蔓が桃男さんに繋がっている。お母さんの杏さん、妹の林檎ちゃんにも。「やっぱ実家は落ち着くわー」と言う梨々の頭にも、いつの間にか蔓が。「結婚前から実を見せるじゃないぞ」「てへへ」「いいんですか蜜男さん。こんな娘で?」
しどろもどろだったが、無事に挨拶は済んだ。
正月。僕は実家に帰ると、うちの家族に梨々の果族の話をした。「お前は知らないと思うが、昔は果物を水菓子と呼んだんだよ。これも縁だろう」父はむしろ喜んでいる。「私たち菓族にとってもね」母もクッキーの缶の中からそう言ってくれた。
桃男さんと名乗った梨々のお父さんの頭には、太い蔓が生えていた。「どうぞ、お楽に」ツヤツヤとした健康的な丸顔だ。いや、それよりも樹だ。巨大な樹が家の中心に生えていて、その蔓が桃男さんに繋がっている。お母さんの杏さん、妹の林檎ちゃんにも。「やっぱ実家は落ち着くわー」と言う梨々の頭にも、いつの間にか蔓が。「結婚前から実を見せるじゃないぞ」「てへへ」「いいんですか蜜男さん。こんな娘で?」
しどろもどろだったが、無事に挨拶は済んだ。
正月。僕は実家に帰ると、うちの家族に梨々の果族の話をした。「お前は知らないと思うが、昔は果物を水菓子と呼んだんだよ。これも縁だろう」父はむしろ喜んでいる。「私たち菓族にとってもね」母もクッキーの缶の中からそう言ってくれた。
ファンタジー
公開:19/01/02 16:43
更新:19/01/09 14:36
更新:19/01/09 14:36
前回の投稿から一年近く経っていました。びっくりしました。
そしてSSGに初投稿からそろそろ6年です。自分の変わらなさに、改めてびっくりしました。
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