6
27
ビビの瞳は朝の陽が透いた森の色で、髪は夕の陽が沈む海の色。ビビには30人の芸術家の恋人がいた。一月の周期で、毎日違う恋人と1日を過ごした。恋人達はビビを愛していたので問題なかった。ある日ビビは言った「赤ちゃんができたの」。恋人達は口々に父親は自分だと主張した。医学的に不可能な筈の者も居たが構わない。
「じゃあ」ビビは言った「私たちを一番に描いてくれる人と結婚する」。ある者は森と海の顔料でビビを描いた。ある者は嬰児の音楽を作った。ある者は完成まで百年を費やす教会を設計した。
やがて子が生まれた。子は芸術家達の誰にも似ていない金の瞳と褐色の肌を持っていた。ビビが受胎したのは大の月だったのだ。だが芸術家達は誰も夫となる事を諦めなかった。
「じゃあ」ビビは言った「皆で家族になりましょう」。こうして30人は1つの家で暮らした。子は30の芸術を学んだ。教会は孫の代でも完成せず今も煉瓦を積み上げている。
「じゃあ」ビビは言った「私たちを一番に描いてくれる人と結婚する」。ある者は森と海の顔料でビビを描いた。ある者は嬰児の音楽を作った。ある者は完成まで百年を費やす教会を設計した。
やがて子が生まれた。子は芸術家達の誰にも似ていない金の瞳と褐色の肌を持っていた。ビビが受胎したのは大の月だったのだ。だが芸術家達は誰も夫となる事を諦めなかった。
「じゃあ」ビビは言った「皆で家族になりましょう」。こうして30人は1つの家で暮らした。子は30の芸術を学んだ。教会は孫の代でも完成せず今も煉瓦を積み上げている。
恋愛
公開:18/12/31 23:56
前回の投稿から一年近く経っていました。びっくりしました。
そしてSSGに初投稿からそろそろ6年です。自分の変わらなさに、改めてびっくりしました。
ログインするとコメントを投稿できます