家族船

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地球がすっかりワヤになってしまったので、僕達の先祖は沢山の宇宙船を造って外に飛び出した。生存率を上げるため遺伝子情報から各船に乗る氏族を割り振って。僕達の乗ってる船は「山田リヒャルト趙ウガベ(略)」号だ。この船の中で違う氏族と結婚して子を産む。これが家族船。
「同じ船の中で相手を決めるの嫌だ」「昔は同じ学校で相手を決めてたらしいよ」と趙は笑った。
ある日僕達の船は別の家族船と接近した。「佐藤タゴール王ピャク(略)」号だ。億兆分の一の確率。
規約に則り互いの船の物資と航宙記録だけが交換された。舷窓から覗くと向こうの船の窓と目線が合った。赤い帽子のボブヘアの女の子。
僕がそのまま物資のコンベアに忍び込むと向こうからも女の子が流れて来た。僕らは手を繋いで走って夢中で、気がついたら射出した小型船の中でキスしてた。
今ごろ船では大家族会議だろう。でもそんな事は知るもんか。これは人類最後の家出なんだ。
SF
公開:18/12/31 23:49

北澤奇実

お祭りには乗ってみたい性分なんです。

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