『辿り着けない迷子センター』

銀座の老舗デパート"迷宮"。
名は体を表すの通り、このデパートは構造が複雑だ。それ故に迷子も多い。
そして、迷子センターにたどり着くのも一苦労する。
『迷子のお呼び出しを申し上げます。赤いズボンに黄色い帽子を被った6歳の男の子、山岸浩太くんをお預かりしております。3階婦人服売り場、ピンクのカーディガンを着たマネキンの盆の窪をご覧ください』
指定されたマネキンの場所を見ると
"2階紳士服売り場、LLサイズの紺のジャケットの袖の内側を見よ"。
こんな感じで誘導され続けるのだ。
15個目の指示に従おうと動き始めたところ、
『迷子をお探しのお客様、方向が違います。初めからやり直してください』
ん？いったいどこで間違えたんだ？
おもちゃ売り場のミニカーの車種か？化粧品売り場のチークの色を微妙に間違えた気がしないでもない。
とにかく初めからやり直すのが確実だ。
次はメモを持ってこようと私は心に誓った。