『品が良い特殊詐欺』

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「もしもし、母さん、オレオレ」
「まあ、雅之さん、なんてはしたない言葉遣い。自分のことは"私"。私のことは"母上様"でしょう?」
「ごめん、母さ……じゃなかった母上様」
「それで、どうなさったの?」
「実は交通事故を起こしちま……起こしてしまいまして、示談金が必要なん……必要なのです」
「まあ、お金で解決だなんて、なんて野蛮な。いいですか、雅之さん、品行方正が我が二宮家の家訓。誠意をもって謝るのです。相手は必ずわかってくれます」
「そんな、母上様」
「いいえ、私は貴方に品という物をしっかり躾けたつもりです。品をもってすれば逆に相手から金を巻き上げること……あら、私ったら巻き上げるだなんてはしたない」
「巻き上げる……母上様、ぜひともその方法を俺に」
「仕方ないわね。でも親子とはいえ一人前の大人同士、再教育料として500万円いただくわ。今からいう口座に1時間後までに振り込んでおきなさい」
その他
公開:18/12/30 22:21
品が良い特殊詐欺 スクー

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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