『仕送りロンダリング』

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きっかけはちょっとした疑問。
何で家の親は仕送りを二つに分けて送ってくるんだろう?
私は実家に電話をしてみた。
「一つしか送ってないわよ」と母。
仕送りの箱に貼られた伝票を見ると筆跡が明らかに違う。
私は配達業者のホームページで送り元を追跡してみた。
出てきたのは実家からは遥か離れた所の受付センター。
母にその地名を問い質すと白状した。
私は遺伝子的に母の子だが、産んだ母は別にいるのだと。
私は住所を聞き出すと、その人の元へ向かった。
「紗耶香ちゃん。どうしてここに」
その女の人は面食らった様子だった。
私は仕送りからの一件を話す。
「バレちゃったのね。代理母は子供に会えないから、あんな手を使ったの。紗耶香ちゃんのことはお母様から逐一聞いていたけど、何もできないのは歯痒くってね」
「お母さん……」
自然とその言葉が出た。
「紗耶香ちゃん」
強く抱きしめられる。
とても懐かしいにおいがした。
SF
公開:19/01/25 06:39
スクー 仕送りロンダリング

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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