『ホワイトアウト』

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肉まんを買ってコンビニを出ると、猛吹雪だった。
動物注意の標識があるような山の中の道にもコンビニってあるんだなと、物珍しさに立ち寄ったのが運のつき。
視界はほぼ真っ白で駐車場の車の位置さえ分からない。
まあ、仕方ない。肉まんでも食うかと視線を落としたとき、一際強く吹雪いた。ほんの一瞬、手元の肉まんすら見えなくなるほどのホワイトアウト。
気を取り直して肉まんにかじりつく。
ジャリ。
あまりの冷たさにペッと吐き出す。雪だ。肉まんの皮が雪になっている。
ザリザリと雪を剥いで具まで辿り着くと湯気の立つ餡子。店員め間違えたな。
まあいいさと餡子を食べる。
そのとき、白一色の吹雪の中になにかが見えた。
狐だ。そいつはまさにしてやったりというニヤリ顔を浮かべ、雪の中に消え去った。
もしかして、俺、狐に化かされた?
そういえば狐が人間を化かす時馬の糞を牡丹餅に見せるというが……。
まさかこの餡子。うげっ。
ファンタジー
公開:19/01/25 05:43
スクー ホワイトアウト肉まん

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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