『絡新婦(じょろうぐも)』

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あたしがこの女の背(せな)に乗ったのはどのくらい前だったか。酷薄そうな眼をした彫り師が魂賭けて彫ったのがあたしだ。
女郎宿の女郎蜘蛛。男を喰らう女郎蜘蛛なんて呼ばれてねぇ。
でも、見世の仲じゃあお慈悲の女郎蜘蛛と呼ばれていたのさ。
この女と一緒に見世に立つ女、特に欲のない女にはいい旦那が見つかるって噂が立っていてね。
まあ、それがあたしの力でもあるんだが。苦界に垂らす蜘蛛の糸さね。
でも、悲しいねぇ。この女だけは救ってやれない。
あたしにできるのは吸い取った男の精で若い時間をちょっとばかし伸ばしてやるだけさ。
地獄の仏が一番苦しい。やりきれないねぇ。
ホラー
公開:19/01/23 15:28
妖怪 百鬼夜行シリーズ

ひょろ( twitterが主。あとは「月の音色」の月の文学館コーナー )

短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー

目にも止まらぬ遅筆を見よ!

twitterアカウント:hyoro4779

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