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「お狐様、お狐様」
足元から聞こえた声に狐が足を止めると、そこにあったのは人の骨であった。
「なんだ、野晒しか」
「俺は笹神村の清助言うもんです。戦に駆り出され、ここで命果てました」
「ふむ、それで」
「俺、村に許嫁を残してきたんです。そいつに一目会いてぇ。
俺は殺された無念からここを動けねぇ。お狐様、オラの骨を村まで持って行ってくれねぇか」
「なるほど、承知した」
村に着いた狐は骨を咥えたまま、ふぅと息を吐く。青白い狐火が清助を形作る。
「清助さ。そこにいるのは清助さでねぇか」
現れたのは一人の娘。しかし、その姿は薄い。そして娘の足元には骨を咥えた狐が。
「佳代、おめぇ」
「村は山賊に……。オラ、清助さに会いたくてお狐様に」
「そうか」
その時、晴れた空から雨が降り始めた。狐の嫁入り。愛する二人を誰にも邪魔されぬよう隠す雨だ。
その雨に包まれ、二つの狐火は天へと昇って行った。
足元から聞こえた声に狐が足を止めると、そこにあったのは人の骨であった。
「なんだ、野晒しか」
「俺は笹神村の清助言うもんです。戦に駆り出され、ここで命果てました」
「ふむ、それで」
「俺、村に許嫁を残してきたんです。そいつに一目会いてぇ。
俺は殺された無念からここを動けねぇ。お狐様、オラの骨を村まで持って行ってくれねぇか」
「なるほど、承知した」
村に着いた狐は骨を咥えたまま、ふぅと息を吐く。青白い狐火が清助を形作る。
「清助さ。そこにいるのは清助さでねぇか」
現れたのは一人の娘。しかし、その姿は薄い。そして娘の足元には骨を咥えた狐が。
「佳代、おめぇ」
「村は山賊に……。オラ、清助さに会いたくてお狐様に」
「そうか」
その時、晴れた空から雨が降り始めた。狐の嫁入り。愛する二人を誰にも邪魔されぬよう隠す雨だ。
その雨に包まれ、二つの狐火は天へと昇って行った。
ファンタジー
公開:19/01/18 05:48
百鬼夜行シリーズ
妖怪
短いものしか書けない系ものかき趣味人
江坂遊先生の「短い夜の出来事」(講談社文庫)に入っているハイパーショートショートに触発されて、短い小説を書いている。
原稿用紙5枚→3枚→半分(200字)→140字(twitter小説)と着々と縮み中w。
月の音色リスナー
目にも止まらぬ遅筆を見よ!
twitterアカウント:hyoro4779
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