馬肉猫

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昔、馬と肉と猫が東へと旅していた。猫は歩くのが怠かったし肉は歩けないので二匹は馬の背に乗っていた。猫は時々肉を噛ろうとしたが馬が睨むのでやめた。
それを見たある男が、馬を売り肉を喰い猫を帽子にしようと考えた。早速肉を掴んで鍋に入れると肉は己が汁で脂を弾いた。「あちっ」怯む男を馬が蹴り、猫が必殺拳で急所を貫くと男は天に舞った。肉には焼き色が付いたが命に別状無かった。
三匹は旅を続け山脈の砂漠の大河の果てに、海から昇る日輪を見た。眼を細め彼等は満足した。「じゃあな。ブレーメンで楽団員を募ってんだ。ひと暴れしてやるよ」言って猫はすたすた西に帰った。「肉はどうするんだ」「僕は此処に残るよ」馬は更に東へ進んで、加藤清正の愛馬となったと云う。肉はその後の激動の歳月を生き抜き、時の権力者の寵愛を受けた。
去年私は台北の博物院で肉に会った。肉は当時の照りツヤのまま、太平洋を模した浪の上に艶然と座っていた。
青春
公開:18/10/19 01:35
更新:18/10/19 01:58
台北・博物院・肉でご検索 写真は鹿鍋です お好みのボイスで脳内再生 私のお勧めは立木文彦さん

北澤奇実

締切3分前に「やったー!書けたー!!」って思ったら、なぜか改行を含めて500文字ぴったりで、自分のやってる事に驚きました。

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